旧ビンズオン省の工業団地に立地する縫製工場が、受注減少を背景に操業を停止し、2,700人を超える労働者が雇用調整の対象となりました。
テト(旧正月)を前にした操業停止は地域の労働市場にも大きな影響を及ぼしましたが、一方で、賃金・退職手当・13か月目給与の支給方針や、周辺企業による受け入れ対応も進められています。
本記事では、操業停止の経緯、労働者への措置、そして行政・企業による雇用維持の動きを紹介します。
12月25日:20年以上操業の工場閉鎖
受注減少が続いた操業停止の背景
VnExpress紙の2025年12月25日付記事によると、受注不足が長期化していることを受け、韓国資本の縫製企業であるPanko Vina社は、旧ビンズオン省ベンカット地区のミーフック工業団地に所在する工場の操業を停止すると発表しました。
同社は、規制当局および従業員に送付した通知の中で、新型コロナウイルス感染症発生後も受注環境の改善が進まず、新たな注文を確保できなかったことから、生産活動の継続が困難になったと説明しています。このため、同工場での操業を停止し、規模を縮小したうえで、生産機能を中部地域にある別拠点へ集約する方針としています。
操業停止の予定と労働者への措置
労働者は2026年1月15日まで勤務し、工場は未完了の受注を処理するため2026年1月31日まで稼働を続けますが、2026年2月1日から操業を停止する計画です。
会社は2026年1月分までの賃金を全額支払うほか、未消化の年次有給休暇については金銭で清算するとしています。さらに、各労働者に対して200万ドンの追加支援金を支給し、法令に基づく退職手当も支払うとされています。賃金および社会保険料の未払いはないと報じられています。
企業概要と今後の対応
Panko Vina社は、1984年設立の韓国繊維・縫製大手グループに属し、2003年からベトナムで操業し、親会社からの受注による縫製加工を行ってきました。最盛期には3工場を運営し、8,000人超の労働者を雇用していたとされています。
また、現在この工場の買収を検討している投資家がいることが明らかにされており、雇用が継続されれば労働者への影響を最小限に抑えられる可能性があるとしています。その一方で、他の企業がこれらの労働者を採用したい意向も示しており、翌週には関係当局が企業と協議を行い、労働者の権利保護を確保する方針とされています。
12月29日:7社が雇用受け入れ表明
妊娠中の女性労働者や長期勤続者の困難
VnExpress紙の2025年12月29日付記事によると、2,700人を超える労働者がテト(旧正月)直前に失業の可能性に直面しており、特に以下の層で不安が強まっているとされています。
- 妊娠中または産休中の女性労働者
- 妊娠中であることから、再就職が難しいケースが多い
- 社会保険の加入期間が不足し、出産手当を受けられない可能性がある労働者も含まれる
- 工場内には100人以上の産休中の女性労働者がいるとされている
- 長期勤続の高年齢層の女性労働者
- 長年勤務してきた労働者が多い
- 新たな雇用先を見つけることが容易ではない状況にある
このように、複数の要因が重なり、労働者の生活や将来設計に大きな影響が及んでいます。
労働組合と行政による支援対応
こうした状況を受け、労働組合は操業停止の通知を受領後、労働者の意見を集約し、経営陣や関係機関に対して要望を提出しています。主な要望内容は以下のとおりです。
- 2025年分の業績に基づく13か月目の給与の支払い
- 全労働者に対する追加的な支援措置
- 妊娠中の女性労働者への配慮
- 社会保険手続きに関する継続的な支援体制の確保
現時点で企業側は、
- 2026年1月分の給与
- 退職手当
- 社会保険料
を全額支払う方針を示しており、これに加えて労働者1人当たり2,000,000VNDの支援金を支給するとしています。
また、労働組合および労働当局は、
- 近隣地域の企業と連携した数千人規模の雇用受け入れ先の確保
- 社会保険の一時金受給を急がないよう促し、将来的な権利保全を重視するよう助言
といった対応を進めているとされています。
7社が2,700人超の受け入れを登録
VnExpress紙の2025年12月29日付記事によると、旧ビンズオン省の工業団地に所在する7社が、2026年2月1日付で工場を閉鎖するPanko Vina社の労働者2,700人超を全員受け入れる意向を登録しました。これら7社は、工業製造、家具、電気・電子部品、機械分野で事業を行っており、総採用需要は約3,800人と、同社の在籍労働者数を上回っています。
また、Thanh Nien紙の2025年12月29日付記事によると、7社の内訳は以下の通りです。(社名は記事より直接引用しています。)
- Công ty Motomotion Việt Nam(Motomotion Vietnam):約2,148人
- Công ty Zhigao Furniture Việt Nam(Zhigao Furniture Vietnam):約70人
- Công ty New Wide (Việt Nam)(New Wide (Vietnam)):約500人
- Công ty Yazaki EDS Việt Nam(Yazaki EDS Vietnam):約300人
- Công ty Kỹ nghệ gỗ Hoa Nét(Wanek Furniture):約200人
- Công ty Endo Kondo Việt Nam(Endo Kondo Vietnam):50人
- Công ty Da Nu(Da Nu):約500人
7社はいずれもミーフック1工業団地周辺に工場を有しており、通勤面での利便性も考慮されています。
ホーチミン市輸出加工区・工業団地管理委員会(Hepza)は、採用手続きの簡素化を提案し、当面は市民身分証のみで応募を可能とし、その他の書類は就業後に補完する方針を示しました。また、妊娠中や産休中、出産間近の女性労働者を差別しないこと、高年齢の労働者を優先的に受け入れることが企業側に求められています。
労働者の権利対応と今後の支援策
さらに、2026年1月15日頃から各企業がPanko Vina社を訪れ、直接面接・採用を行う予定とされ、工場閉鎖後すぐに新たな職場へ移行できるよう調整が進められています。一方で、Panko Vina社の経営側は、13か月目給与について親会社と協議を継続し、2025年12月30日に正式回答を行うと説明しました。
加えて、2026年1月分の賃金は新たな地域別最低賃金に基づき全額支給し、妊娠中または産休中の女性労働者に対する制度も適切に処理するとしています。1月31日以降も事務職員を残し、社会保険手続きや退職手当の支給を完了させるとともに、関係当局と労働組合が連携し、失業を防ぐための支援を継続するとされています。
12月30日:13か月目給与の支給決定
解雇前の工場閉鎖と支給方針
VnExpress紙の2025年12月30日付記事によると、旧ビンズオン省にあった工場の閉鎖によりテト前に職を失った2,700人超の労働者全員に対し、縫製会社Panko Vina社が13か月目給与を支給します。
12月30日朝、ホーチミン市輸出加工区・工業団地管理委員会(Hepza)の担当者は、この支給案が韓国の親会社で合意されたと説明しました。支給は2026年1月に行われ、金額は各個人の基本給を基準に算定されるとしています。
さらに、13か月目給与に加え、会社は2026年1月分の賃金を新たな地域別最低賃金で支払うこと、妊娠中または産休中の女性労働者に対する各種制度を十分に解決すること、社会保険手続きの支援など、労働者側の要望を受け入れました。
労使の協議経緯と算定基準
同社の労働組合代表者によれば、企業規定では年末賞与、すなわち13か月目給与は工場の生産活動を基準に決定されます。2025年の生産計画は完了しており、労働者は12か月間の就労を満たしていることから、労働組合が13か月目給与の支給を提案しました。
算定に用いる基本給は、労働者1人当たり平均で約7,000,000VNDとされています。一方で、工場閉鎖の通知時に提示された支援が2,000,000VNDにとどまったため、労働者の落胆が大きかったとも伝えられています。
おわりに
今回の操業停止は、受注減少が長期化する中での厳しい事業環境を示す事例となりました。一方で、雇用調整に当たって、賃金や退職手当、13か月目給与の支給方針は示されており、行政や労働組合、周辺企業が連携して雇用の受け皿を確保する動きが進んでいます。今後も最新情報をお届けしてまいります。
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※本記事は、公開時点の各ニュースソースを参考に、主要なポイントを編集・再構成したものです。概要の紹介を目的としており、最新情報は公式発表などのご確認をお願いいたします。

