MENU

2025年1月発表の統計から見るベトナム人口の動向と少子高齢化の現状

ベビーカー・積み木・高齢者とベトナム地図のシンプルなイラスト

ベトナムでは、出生率の低下と高齢者人口の増加が同時に進行し、社会保障制度や労働市場への影響が懸念されています。特に都市部では、極端に低い出生率や急速な高齢化が顕著となっており、企業や政府にとって早急な対応が求められる状況です。

本記事では、ベトナム統計総局(General Statistics Office:GSO)が2025年1月に発表した人口動態に関する2つの最新資料(「2024年中間人口・住宅調査の結果」と「急速な人口高齢化に関する報告」)をもとに、同国の少子高齢化の現状とその背景、労働市場や社会保障制度への影響について整理します。

目次

ベトナム人口全体の動向

人口規模と増加率

2024年4月1日時点のベトナムの人口は約1億111万人で、東南アジアではインドネシア、フィリピンに次いで第3位、世界では16位の規模になります。2019年からの5年間で約490万人増加したことになり、年平均増加率は0.99%となっています。これは前期(2014~2019年)の1.22%に比べて0.23ポイント低下しており、人口増加ペースがやや鈍化していることがわかります。

都市部の人口は約3,860万人(全体の38.2%)、農村部の人口は約6,250万人(61.8%)と、依然として農村部が大半を占めます。ただし、都市部の年平均増加率(3.06%)は過去の調査時点よりさらに上昇しており、都市への人口集中が続いていることが示唆されます。

人口構造と世帯数

全国の世帯数は約2,815万世帯で、2019年と比較して約130万世帯増加しています。世帯規模の拡大に伴い、住宅事情やインフラ整備の課題も浮き彫りになっています。また、ベトナムは「人口ボーナス期(人口黄金期)」を継続中とされ、15~64歳の生産年齢人口が67.4%を占める一方、65歳以上は9.3%と報告されています。しかし、高齢者比率はすでに上昇傾向にあり、将来的な労働力不足が懸念されます。

深刻化する少子化の現状

ベトナムの合計特殊出生率(TFR:Total Fertility Rate)は、長年人口置換水準(2.1)をほぼ維持してきましたが、近年急速に低下しています。具体的には2023年に1.96、2024年には1.91まで下がり、過去最低水準を記録しました。

都市部のTFRは1.67と農村部の2.08を大きく下回っており、ホーチミン市では1.39という全国最低値が観測されています。一方、ハザン省は2.69で全国最高値となっており、地域間格差が顕著です。専門家はこのまま出生率が下がり続けると、他国(日本、韓国など)の例と同様に回復が極めて難しくなる可能性を警告しています。

なお、2024年時点の統計では、女性の平均初婚年齢が2019年より2年以上上昇しており、出生率の低下の一因とされています。

加速する高齢化の現状

ベトナムの高齢者(60歳以上)人口は2024年時点で約1,420万人に達し、2019年比で1.25倍、2014年比で1.5倍に増えました。高齢化のペースが世界有数のスピードで進んでいると強調されています。予測では、2030年には60歳以上が1,800万人近くに増加し、高齢化率のさらなる上昇が見込まれています。こうした急速な高齢化の主な要因としては、医療技術の進歩に伴う平均寿命の延伸に加えて、出生率の低下が拍車をかけている点が挙げられます。

また、ベトナムは現在、「人口黄金期」にあるとされ、労働供給力が豊富な時期ではありますが、一方で高齢化に伴う生産年齢人口の割合低下も始まっており、65歳以上の割合は9.3%に達しています。

少子高齢化の影響と対策

就業・社会保障への影響

ベトナムでは、少子化と高齢化が同時に進んでおり、今後の労働市場や社会制度にさまざまな影響を及ぼすと考えられています。労働力人口が減少し、年齢構成が高齢者に偏ることで、人材不足や生産性の低下が懸念されています。高齢化は、労働力の構造だけでなく、経済全体の活力にも影響を与えるとされています。

さらに、医療の進歩により平均寿命が延びる一方で、高齢者の増加により、医療や介護などの社会保障にかかる費用が今後さらに増えると見込まれています。こうした動きは、国家財政にも大きな負担を与えることになり、長期的には制度面での幅広い対応が求められる状況です。

少子高齢化への主な対策

少子化対策としては、一度低下した出生率は回復しにくい傾向があることから、経済や文化の背景を踏まえた出産支援策の導入が検討されています。

また、高齢化への対応としては、働く意欲と能力のある高齢者が引き続き活躍できるよう、年齢に応じた雇用機会の確保や、段階的な定年年齢の引き上げなどの施策が挙げられています。あわせて、社会保険制度の充実によって、より多くの人が保障を受けられるようにし、高齢者の生活の質を向上させることも重要な課題とされています。

おわりに

ベトナムでは世界的にも注目されるほどのスピードで少子高齢化が進んでいます。短期的には「人口黄金期」の恩恵を受ける一方、都市部を中心とした出生率の低下と高齢者人口の急増が同時に進行し、将来的な労働力不足や社会保障費の増加など、多くの課題が浮上しています。経済成長と国民生活の質を維持するためにも、子育て支援や高齢者の就業機会拡大、社会保障制度の充実など、多面的な対策を早急に進めていく必要があります。

ベトナムの人事に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

※本記事は、公開時点の各ニュースソースを参考に、主要なポイントを編集・再構成したものです。概要の紹介を目的としており、最新情報は公式発表などのご確認をお願いいたします。

目次