ベトナムで外国人が企業に就労する場合、労働許可証(ワークパーミット)の取得が必要です。申請時には「管理職(Manager)」「業務執行者(Executive)」「専門家(Expert)」「技術者(Technician)」の4つの職種カテゴリのいずれかに該当することを証明しなければなりません。
本記事では、2025年8月7日に公布・即時施行された最新の政令第219/2025/ND-CP号(以下、政令第219号)をもとに労働許可証の基本的な申請要件をカテゴリごとに紹介し、近年の要件緩和やその背景と合わせて紹介します。

現行の申請要件(2025年8月7日以降)
ベトナムでは、申請要件が以下の4つのカテゴリに分類されています。ベトナムで従事する予定の職務やポジション、これまでの実務経験などを考慮して申請するカテゴリを選択することになります。
管理職(Manager)
- 企業法第4条第24項の規定に基づき企業を管理する者
- 法令の規定に基づく機関・組織の長、またはその副長に相当する役職を有する者
業務執行者(Executive)
- 企業の支店、駐在員事務所、または営業拠点の長である者。
- 機関、組織、企業の1つの分野の責任者であり、かつその分野を直接運営し、ベトナムで従事する予定の職務に適合する分野において少なくとも3年の経験を有する者。
専門家(Expert)
- 学士以上またはそれと同等の学位を有し、かつベトナムで従事する予定の職務に適合する分野において少なくとも2年の実務経験を有する者。
- 専門分野の学士以上の学位を有し、かつベトナムで従事する予定の職務に適合する分野において少なくとも1年の実務経験を有する者であって、当該専門家が金融、科学、技術、イノベーション、国家デジタル変革の分野、または省庁・中央機関・省人民委員会が経済社会発展の優先分野として認定した分野、またはベトナム政府間協力協定に定められた分野で勤務する場合。
技術者(Technician)
- 少なくとも1年以上の訓練を受け、かつベトナムで従事する予定の職務に適合する分野において少なくとも2年の実務経験を有する者。
- ベトナムで従事する予定の職務に適合する分野において少なくとも3年の実務経験を有する者。
政令第70号の要件緩和(2023年9月18日)
政令第70/2023/ND-CP号は、2023年9月18日に公布・即日施行され、これまでの政令第152/2020/ND-CP号(以下、政令第152号)を修正・補足する形で運用されていました。特に多くの申請者が該当する「専門家(Expert)」の要件がより柔軟になった点が主要な改正点の一つです。
従来の政令第152号では、「大学の専攻」と「実務内容」の厳密な一致が求められていたため、専攻が違うと労働許可証が取得しづらいという問題が発生していました。
労働許可証の発給について、新しい政令(152/2020/ND-CP)が2021年2月15日から施行されておりますので、以下のとおり留意事項をご案内させていただきます。
1 専門家の労働許可証の取得に際し、大学の専攻とベトナムで就労予定の職務の一致を厳格に審査され、政令に規定する添付書類のみでは認められない場合があります。…
労働許可証の取得に係る留意事項|在ベトナム日本国大使館 – 2021年06月24日
しかし、この条件だと実務経験が豊富でも大学の専攻が異なるだけで不許可になるケースもあり、欧州商工会議所(EuroCham)をはじめとする外資系企業から批判の声が上がっていました。
【日本語仮訳】
しかし、ベトナムで10年近く同じ職務に就いている外国人専門家でさえ、こうした要件を満たせないケースが多く見られます。
この政策を批判する者の中には、大学の学位を持たない億万長者ビル・ゲイツ氏でさえ、ベトナムで労働許可証を取得できないだろうと指摘する声もあります。
European firms in Vietnam upset over complicated work permit application|Tuoi Tre紙 – 2023年3月9日
こうした批判もあり、政令第70号では大学専攻と従事予定の職務分野が完全に一致していなくてもよいとルールが変更となりました。具体的には以下の2点を満たすことで専門家としての認定を受けられるようになりました。
- 大学卒業以上または相当の学位を持っていること
- ベトナムで従事する予定の職務と関連する分野で3年以上の実務経験があること
政令第219号の要件緩和(2025年8月7日)
2025年8月7日に公布・即日施行された政令第219/2025/ND-CP号では、政令第70号に続き労働許可証の申請要件がさらに緩和されました。特に「専門家(Expert)」「技術者(Technician)」について、必要な実務経験年数が1〜2年短縮されたことが大きな変更点です。これにより、経験年数不足で申請できなかったケースでも、申請できる可能性があります。
専門家(Expert)
旧法(政令第152号+政令第70号)
- 学士以上またはそれと同等の学位を有し、かつベトナムで従事する予定の職務に適合する分野において少なくとも3年の実務経験を有する者。
- 少なくとも5年の実務経験を有し、かつ、ベトナムで従事する予定の職務に適合する職業資格証明を有する者。
- 所管官庁の提案を受け、首相が決定する特別な場合。
新法(政令第219号)
- 学士以上またはそれと同等の学位を有し、かつベトナムで従事する予定の職務に適合する分野において少なくとも2年の実務経験を有する者。
- 専門分野の学士以上の学位を有し、かつベトナムで従事する予定の職務に適合する分野において少なくとも1年の実務経験を有する者であって、当該専門家が金融、科学、技術、イノベーション、国家デジタル変革の分野、または省庁・中央機関・省人民委員会が経済社会発展の優先分野として認定した分野、またはベトナム政府間協力協定に定められた分野で勤務する場合。
技術者(Technician)
旧法(政令第152号+政令第70号)
- 少なくとも1年以上の訓練を受け、かつベトナムで従事する予定の職務に適合する分野において少なくとも3年の実務経験を有する者。
- ベトナムで従事する予定の職務に適合する分野において少なくとも5年の実務経験を有する者。
新法(政令第219号)
- 少なくとも1年以上の訓練を受け、かつベトナムで従事する予定の職務に適合する分野において少なくとも2年の実務経験を有する者。
- ベトナムで従事する予定の職務に適合する分野において少なくとも3年の実務経験を有する者。
おわりに
ベトナムの外国人労働者に関する労働許可証の申請要件は、法改正によってここ数年でも大きな変化がありました。今後も変更される可能性があるため、実際に申請手続きを実施する際には、申請要件に関する最新情報を確認の上で着手いただければと存じます。
ビザ・労働許可証に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
※本記事は、公開時点の情報を参考に作成しており、今後変更となる可能性があります。また、具体的な運用は管轄機関によって異なる可能性があるため、実務上は事前にご確認をお願いいたします。

