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ベトナムの中国語求人が2年で2倍、日本語求人の2.4倍に、賃金水準も上昇

中国語人材の需要拡大と賃金上昇を示すイラスト

ベトナムの労働市場では、中国語を要件とする求人が増加しています。

採用プラットフォームのレポートによると、中国語求人は2023年から2025年の2年間で約2倍に増加し、2025年時点では日本語求人の約2.4倍の規模となりました。加えて、同等職種と比較して賃金水準が10〜40%高く設定されるケースも見られます。

本記事では、中国語求人の増加背景と賃金水準の動向を、日本語・韓国語求人との比較を交えて紹介します。

目次

中国語人材の需要拡大と賃金水準の上昇

中国語要件の求人件数が急増

Dan Tri紙の2026年1月28日付記事によると、採用プラットフォームが公表した2026年版の給与・人材市場・採用レポートにおいて、中国語ができる人材の採用需要は、件数・待遇の両面で大きく拡大しています。

中国語要件の求人件数は年々増加しており、推移は以下のとおりです。

  • 中国語要件の新規求人
    • 2023年:6,680件
    • 2024年:8,706件(前年比 約1.3倍
    • 2025年:12,997件(前年比 約1.5倍、2023年比 約2倍

一方で、他言語要件の求人件数は次の水準にとどまっています。

  • 日本語要件の求人
    • 2023年:3,934件
    • 2024年:4,381件
    • 2025年:5,422件
  • 韓国語要件の求人
    • 2023年:2,269件
    • 2024年:2,358件
    • 2025年:2,388件

このように、中国語要件の求人件数は日本語・韓国語を大きく上回っており、労働市場における外国語ニーズの変化が明確に示されています。

経験年数別にみる賃金水準の差

製造業、輸出関連、商業分野を中心に、中国語ができる人材の賃金は、外国語要件のない同等職種と比べて平均10〜40%高い水準にあります。経験年数別の月給水準は以下のとおりです。

  • 経験1年未満
    • 外国語要件なし:800〜1,200万VND
    • 中国語要件あり:1,200〜1,800万VND
    • 差:約30〜50%増
  • 経験1〜3年
    • 外国語要件なし:1,200〜2,000万VND
    • 中国語要件あり:2,000〜4,200万VND
    • 差:約40〜100%増

経験年数が増すにつれ、中国語能力による賃金差が一層拡大する傾向がみられます。

職種別に際立つ待遇と企業動向

職種別にみると、中国語要件による賃金上昇は特定分野でより顕著です。

  • 技術職
    • 外国語要件なし:1,000〜1,800万VND
    • 中国語要件あり:1,500〜2,600万VND
    • 差:約25〜45%
  • B2B営業
    • 外国語要件なし:1,500〜2,200万VND
    • 中国語要件あり:2,500〜3,500万VND
    • 差:約40〜60%
  • プリセールス職
    • 外国語要件なし:1,000〜1,800万VND
    • 中国語要件あり:1,800〜4,200万VND
    • 差:約50〜120%

また、経験が浅い人材であっても、中国語能力を理由に管理職クラスと同等の賃金が支払われる例が確認されています。さらに、中国系企業の中には、コミュニケーションや業務運営上の課題を解消するため、市場平均を上回る賃金を提示し、中国語人材の確保を進める動きもみられます。

日本・中国・韓国語学習とキャリア展望

アジア言語が関心を集める背景

ネットメディア「CafeF」の2026年1月21日付記事によると、近年、「日本語、中国語、韓国語のどれを学べば将来が明るくなるのか」という問いが、進路選択や職業選択に関する場面で頻繁に取り上げられています。英語がほぼ必須の能力となりつつある中、アジアの外国語をもう一つ習得することが、学習歴やキャリアをより有利に見せる要素として捉えられている状況が示されています。

日本語・中国語・韓国語の特徴

日本語:安定した需要と高い専門性

日本語については、日本が製造業、裾野産業、技術分野、教育、医療など多様な分野で長年にわたりベトナムへ投資してきたことを背景に、日本語人材への需要が高い水準で維持されています。日本企業や日本の取引先と関わるベトナム企業では、日本語能力試験N2以上に達した場合、比較的競争力のある給与水準が期待できます。一方で、複雑な文字体系や敬語、規律の厳しい職場文化が学習や就業の負担となり、途中で学習を断念する人も少なくない点が挙げられています。

中国語:規模の大きさと競争の激化

中国語については、中国が大規模な経済圏であり、ベトナムと深い貿易関係を持ち、グローバルなサプライチェーンに強い影響力を及ぼしている点が示されています。中国企業との取引に限らず、物流、輸出入、越境電子商取引、マーケティング、観光など、幅広い分野で活用できる言語とされています。その一方で、漢字の習得が大きな壁となることや、学習者数の増加に伴って競争が激しくなっており、専門分野の知識やスキルを併せ持つことが求められている状況も示されています。

韓国語:スピード感と柔軟な環境

韓国語は、日本語の安定性、中国語の規模感とは異なり、スピード感と柔軟性を特徴とする言語として整理されています。K-POPや映画、化粧品、ファッションなどの韓国文化の広がりを背景に、韓国企業のベトナム進出が進み、製造、流通、メディア、エンターテインメント分野で韓国語人材の需要が高まっているとされています。文字体系が分かりやすく初期段階では学びやすいとされる一方で、業務で通用する水準に到達するには、継続的な努力と職場文化への適応が必要だとされています。

結局どの言語を選ぶべきか

将来の可能性は言語そのものではなく、学ぶ人自身と専門性との組み合わせに左右されます。日本語を学んでも基礎的な会話力にとどまれば競争力は限定的であり、中国語や韓国語についても、業界知識や職務能力を伴わなければキャリア形成には限界があるとされています。外国語は、専門スキルや仕事への理解、環境への適応力と結びついたときに初めて力を発揮するものであり、流行を追うのではなく、自身の性格や長期的な目標に合った言語を選ぶことが重要だとまとめられています。

仕事後に広がる中国語学習の波

工業団地で働く社会人の学習実態

VnExpress紙の2026年1月30日付記事によると、バクニン省の工業団地で働く社会人の間で、退勤後に中国語を学ぶ動きが広がっています。同省のタンディン工業団地にある工場で働く中国系外資企業の会計担当者は、17時15分に退勤後、職場から5km以上離れた中国語センターへ向かい、17時45分から19時45分まで夜間クラスを受講しています。クラスには、すでに外資系企業で働く事務職や現場責任者が多く集まっています。

この会計担当者は、学習を始めた当初、日中の業務で体力を使い切った状態のまま夜間クラスに通い、帰宅後は育児にも対応する生活を続けていました。そのため、強い疲労を感じる場面もありました。さらに、中国語は「表意文字」で書きにくく、覚えにくいという特性があり、学習の負担は小さくありませんでした。そこで、就寝前翌朝の早朝に時間を分けて語彙を復習するなど、限られた時間を工夫しながら学習を継続しています。

職場では、中国人同僚との会話業務グループでのやり取り業務文書の読解を通じて、中国語を日常的に使っています。学習開始当初は表現がぎこちなかったものの、使用を重ねることで次第に慣れていきました。

学習開始から約5か月でHSK3(初級相当)の水準に達し、上司と話す際に通訳を待つ必要がなくなりました。聞き取りや会話が可能になったことで、業務の進行も以前より円滑になっています。こうした変化の中で、前年末には昇給があり、国内企業で税務関連業務に従事していた当時の月収1,000万VND前後では想定していなかった水準に到達しました。

若年層にも広がる中国語学習

ハノイ市在住の26歳の若手人材は、英語・韓国語・日本語を学んだ経験を持ち、2025年半ばから中国語の独学を始めました。この若手人材は、北部で開催された外資系企業向けセミナーで通訳を務めた経験を通じ、中国語に関わる就業機会を意識するようになりました。

北部では、中国系の外資系企業タイグエン省バクニン省を中心に投資を進めています。この若手人材は、こうした動きを背景に学習を続け、約半年でHSK2の水準に達しました。今後はHSK4またはHSK5を目標にしています。

収入面では、通訳者の月収が2,000~3,000万VND程度とされており、語学に加えて特定のスキルを持つ場合、給与が約1.5倍になる可能性があります。また、新卒や実務経験の浅い人材でも、専攻分野に外国語能力を加えることで、月収1,200〜1,800万VND(残業代別)を得る例があります。

おわりに

中国語要件の求人は、件数・賃金水準の両面で拡大が続いており、2025年時点では日本語要件の求人を大きく上回る規模となりました。一方で、言語そのものが将来を保証するわけではなく、専門分野の知識や実務能力と組み合わさることで競争力が高まります。今後も外国語人材への需要動向についてお届けしてまいります。

ベトナムの人事に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

※本記事は、公開時点の各ニュースソースを参考に、主要なポイントを編集・再構成したものです。概要の紹介を目的としており、最新情報は公式発表などのご確認をお願いいたします。

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