ベトナムでは公務員に対する給与体系の見直しが進められており、特に「職務給(職務に応じて給与を決定する仕組み)」の導入や、評価制度の改革に関する議論がされています。本記事では、ベトナム公務員の給与・評価制度の改正概要やその背景についてご紹介いたします。
ベトナム公務員制度改革の背景
ベトナム内務省が提出した公務員法の改正案では、これまでの階級による公務員の分類を廃止し、職務を基準としたシステムを導入することが検討されています。
【2025年4月19日追記】
政府は 2025年4月18日付 決議104/NQ‑CP で公務員法の改正案を承認し、国会へ提出することになりました。詳しくはベトナム政府電子版の記事(ベトナム語)をご参照ください。
職務給制度への移行
新たな制度では、公務員の職務を以下の3区分に分類します:
- 管理職
- 専門職
- サポート職
これらの職務区分に応じて給与が決定され、さらにベトナムの経済・社会状況と民間企業の給与水準を参考にしながら、適正な報酬体系が構築される見込みです。
改革の狙い:腐敗防止と「頭脳流出」への対応
現在、ベトナムの公務員給与は民間企業と比べて著しく低く、以下のような課題が指摘されています。
- 副業・兼業に依存する公務員の増加
- 公務に対する専念の妨げ
- 汚職や非公式収入の温床
- 優秀な人材の民間や海外への流出(=頭脳流出)
こうした状況を改善するために、職務給制度の導入により公務員が安定した職務環境で働けるようにし、制度面からの透明性・公平性を担保することが改革の大きな目的です。
諸外国における給与制度の事例
ベトナム政府は制度設計にあたり、海外の公務員制度を参考にしています。以下に主な事例を紹介します。
アメリカ:成果重視の給与体系
アメリカでは、公務員の給与は職務の成果や達成度に基づいて決定され、勤続年数は重視されません。
昇給やボーナスは「業績に応じて」支払われるため、透明性とモチベーション向上の両立が図られています。
フランス:手当を組み合わせた柔軟な制度
フランスの公務員制度では、基本給に加えて以下のような手当が支給されます:
- 住居手当
- 家族手当(扶養人数に応じて増額)
- ボーナスおよび特別手当
このように、家庭状況や生活環境に応じた手当が制度的に組み込まれている点が特徴です。
ニュージーランド:学歴・経験に応じた報酬
ニュージーランドでは、公務員の給与は学歴・経験・職務の内容に応じて設定されており、福利厚生(通勤・住宅補助など)も支給されます。
評価制度の改革とその必要性
給与制度の見直しと並行して、公務員の人事評価制度の改革も重要視されています。
各国の評価手法:1対1の面談形式
多くの先進国では、公務員の評価は上司との1対1の面談形式で実施されます。本人が自己評価を行い、上司が成果を確認・分析し、必要に応じてサポート方針を決定します。
ベトナムの課題と改革の方向性
現行のベトナム制度では、評価が形式的になりがちで忖度・遠慮が介在しやすいことが課題です。また、評価が昇進・昇給・報酬と直接結びついていません。
そこで、今回の法改正では、
- 客観的かつ透明性のある評価プロセスの構築
- 成果を定量化できる指標の整備
- 評価者に対する評価権限の強化
- 個別面談の実施による形式主義の排除
といった仕組みづくりが求められており、公務員の評価結果は、昇格・昇給・賞与の唯一の判断基準とすべきとされています。
おわりに
上記のように、ベトナムでは現在、職務給の導入と評価制度の透明化という制度改革が進行中です。これは公共分野に限らず、民間企業にも波及し得るテーマでもあります。企業においても、こうした動向によって、報酬設計・人材評価・マネジメント体制の見直しを検討する必要があるかもしれません。今後の人事制度設計のヒントとして、お役立ていただけますと幸いです。
ベトナムの人事に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
※本記事は、公開時点の各ニュースソースを参考に、主要なポイントを編集・再構成したものです。概要の紹介を目的としており、最新情報は公式発表などのご確認をお願いいたします。

