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ベトナムの社会保険料率の企業負担分、2027年末まで一部引き下げを提案

ベトナム国旗を掲げた建物の前でビジネスマンが握手し、工事作業員が並ぶフラットイラスト

ベトナム内務省は、使用者が負担する労働災害・職業病基金への拠出率を現行0.5%から0.3%へ引き下げる政令草案を公表しました。適用期間は政令施行日から2027年12月末まで、2028年1月以降は0.5%に復帰する見通しです。

本記事では、草案の概要と財政的背景について紹介します。

目次

強制社会保険の構成とは?

ベトナムの強制社会保険は、退職年金・遺族基金、疾病・妊娠出産基金、労働災害・職業病基金で構成されており、以下のような拠出率の配分となっています。

基金使用者負担労働者負担
退職年金・遺族基金14.0%8.0%
疾病・妊娠出産基金3.0%0%
労働災害・職業病基金0.5%0%
社会保険料 合計17.5%8.0%

今回の草案が対象とするのは、使用者のみが負担する労働災害・職業病基金への拠出率(現行0.5%)です。強制社会保険全体の枠組みのうち規模としては最も小さい基金の一つにあたりますが、2025年末時点の積立残高は約86兆4,420億ドンに達しており、この財政的余裕を背景に期限付きの引き下げが提案されています。

拠出率の変更内容と財政への影響

ベトナム労働新聞およびVnEconomy紙の2026年5月6日付記事によると、内務省は現在、強制社会保険における労働災害・職業病保険基金への拠出率を定める政令草案についてのパブリックコメントを実施しています。

草案の骨子は以下のとおりです。

  • 政令施行日〜2027年12月31日賃金総額の0.3%を毎月拠出
  • 2028年1月1日以降:0.5%に復帰

また、ベトナム社会保険の報告によれば、同基金の現状は以下のとおりです。

  • 2025年の収入総額:約7,368億9,000万ドン
  • 2025年の加入者数:約1,810万人
  • 2025年末時点の積立残高:約86兆4,420億ドン(2024年比で約8兆ドン増)

内務省の試算では、2027年に0.3%を適用した場合、基金収入が約3兆ドン程度減少する見通しです。ただし短期的な財政均衡の範囲内に収まるとしています。

一方で、今後は給付側の圧力が高まる見通しです。賃金改定や労働安全衛生法に基づく給付水準の引き上げ方針により、受給者数・給付額ともに増加傾向が予想されています。このため0.3%への引き下げはあくまで期間限定の支援措置と位置づけられており、2028年1月1日からの0.5%への復帰は基金の安全性確保に不可欠な措置であるとしています。

高齢労働者への適用拡大と旧制度の廃止

草案はさらに、労働法の規定に基づく高齢労働者への拠出率規定を新たに追加しています。現行の政令第58/2020/NĐ-CP号の施行総括により、以下の問題が明らかになったためです。

  • 現行制度の対象範囲が、実際に労働関係を継続している一部のケースを網羅できていない
  • 高齢労働者は就労を継続しているにもかかわらず、事業主への強制拠出義務の規定がなく、労働災害・職業病保険の給付を受けられない状態にある

今回の対象者区分の追加により、制度の網羅性を高め、現在の労働実態により適合した政策とすることが目指されています。

また、同政令に基づく「条件付き低率適用」の手続き規定も廃止されます。廃止の理由として内務省が挙げているのは以下の点です。

  • 低率適用の条件が厳格すぎる
  • 申請書類・手順・手続きが複雑でコストが発生する
  • 企業にとって制度へのアクセスが容易でない

旧制度の廃止は、政策の簡素化や企業の法令遵守コスト削減に寄与するものであり、民間経済の発展に関する第68-NQ/TW号決議の趣旨に合致するとされています。

ベトナムにおける採用や人事労務に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

※本記事は、公開時点の情報を参考に作成しており、今後変更となる可能性があります。また、具体的な運用は管轄機関によって異なる可能性があるため、実務上は事前にご確認をお願いいたします。

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