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2025年最新!ベトナムの就業規則と集団労働協約

ベトナム国旗を背に就業規則を確認するビジネスウーマンと労働法を象徴するアイコン

ベトナムでは2019年労働法(2021年1月1日施行)および政令第145/2020/ND-CPにより、就業規則(Nội quy lao động)の内容や作成・登録義務、集団労働協約に関する規定が定められています。本記事では、ベトナムの就業規則と集団労働協約に関する基本的な情報をご紹介します。

目次

就業規則に記載すべき主な事項

ベトナム2019年労働法第118条および政令第145/2020/ND-CP第69条により、就業規則には以下の項目を含める必要があります。ここには賃金や福利厚生といった項目は入っていません。また、以下の4・6・9については、2019年労働法より追加された項目になります。

  1. 労働時間および休憩時間
    • 1日または1週間の労働時間
    • 勤務シフト(シフトの開始・終了時間)
    • 時間外労働(ある場合)および特別な時間外労働
    • 追加的な休憩・シフト間の休憩
    • 週休日、年次有給休暇、私的休暇、無給休暇
  2. 就業場所の秩序
    • 就業場所の範囲、勤務時間中の移動ルール
    • 行動規範や服装規定
    • 使用者からの命令・指示の遵守義務
  3. 労働安全および衛生
    • 労働安全衛生、火災防止の規定・手順・対策
    • 個人用保護具や安全装置等の使用・保管
    • 職場の清掃、除染、消毒
  4. 職場におけるセクシャルハラスメント防止策、対応手順・手続き
    • 政令第145/2020/ND-CP第85条に基づくセクハラ防止規定
    • ハラスメントが起こった際の苦情・申立窓口、処理手順
  5. 使用者の財産、営業・技術上の秘密、知的所有権の保護
    • 保護対象(資産、文書、営業秘密、技術秘密、知的財産など)のリスト
    • 財産や秘密を保護するための責任および具体的措置
    • 資産・秘密に対する侵害行為の列挙
  6. 労働契約と異なる業務へ一時的に労働者を異動する場合
    • 2019年労働法第29条第1項に基づき、労働契約上の業務とは異なる業務に一時的に配置転換できる具体的なケース
  7. 労働規律違反行為および懲戒処分の形式
    • 具体的な違反行為の規定
    • 違反内容に応じた懲戒処分
  8. 物的責任
    • 従業員が企業の資産や設備を損壊・紛失、または定められた基準を超えて消費した場合の賠償責任
    • 損害の程度に応じた賠償金額や請求権限を持つ者
  9. 懲戒処分の権限を有する者
    • 労働法第18条第3項に定められる労働契約を締結する権限を持つ者
    • 就業規則で定められた特定の者

就業規則に関する使用者の義務

作成義務(2019年労働法第118条・政令第145/2020/ND-CP第69条)

  • 労働者数10名未満の場合
    書面で就業規則を作成する義務はありません。しかし、書面で作成しない場合には懲戒および物的責任に関する事項を個別の労働契約に含める必要があります。
  • 労働者数10名以上の場合
    書面で就業規則を作成しなければなりません。また、従業員へ通知し、内容を確認できるように掲示することになっています。

登録義務(2019年労働法第119条)

  • 労働者数10名未満の場合
    就業規則の登録義務はありません。
  • 労働者数10名以上の場合
    就業規則を管轄機関に登録することが義務付けられています。就業規則の公布日から10日以内に登録書類を提出する必要があります。

登録手続きおよび必要書類(2019年労働法第119条・120条)

  1. 就業規則登録の申請書
  2. 就業規則
  3. 事業所の労働者代表組織がある場合、その意見書
  4. 懲戒および物的責任に関する規定を記載した使用者の文書(該当する場合)

実際の提出先は、会社所在地を管轄する労働管理当局です。地域によって運用が異なる場合があるため、事前に確認しておくとスムーズです。また、複数地域に拠点がある場合、就業規則の写しを各管轄機関へ送付することが義務付けられています。

効力(2019年労働法第121条)

  • 労働者数10名未満の場合
    就業規則を作成している場合は、使用者が決定した日に効力が生じます。
  • 労働者数10名以上の場合
    就業規則を管轄機関が受領してから15日後に効力が発生します。

集団労働協約(Collective Labor Agreement)

労働者の代表組織と使用者が団体交渉を経て締結する集団労働協約は、締結義務はありませんが、労使双方の合意に基づく協約を結ぶことができます。また、集団労働協約の内容は、法令の規定より労働者にとって有利であることが推奨されています。

  1. 締結(2019年労働法第75条・76条)
    • 締結義務はないものの、労働者全体の合意(50%以上の賛成)が必要です。
  2. 送付(2019年労働法第77条)
    • 集団労働協約を締結した日から10日以内に、管轄機関へ写しを送付する必要があります。
  3. 効力(2019年労働法第78条)
    • 効力発生日は労使の合意により協約に明記されます。特に定めがない場合は、締結日が発効日となります。
    • 有効期間は1~3年の間で設定可能です。

おわりに

就業規則と集団労働協約の基本的な情報をまとめました。実際に就業規則と集団労働協約を作成する場合には、本記事を通して、企業の義務とされている範囲や法令で求められている内容をご確認の上で取り組んでいただけたらと存じます。

ベトナムの人事に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

※本記事は、公開時点の情報を参考に作成しており、今後変更となる可能性があります。また、具体的な運用は管轄機関によって異なる可能性があるため、実務上は事前にご確認をお願いいたします。

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