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【2025年11月最新】日本が5.5万人で最多、2025年1-10月のベトナム人海外派遣者数は12万人に

海外就労へ向かう旅客の列

2025年1月から10月までに海外で働くために派遣されたベトナム人労働者は累計121,190人に達し、年間計画に向けて順調に推移しています。日本が45.4%で最多となる一方、国内の雇用環境が安定する中で応募が伸び悩む市場も見られます。

本記事では、1〜10月の派遣実績、主要市場の推移、費用負担の変化、応募減少の背景、そして今後の制度改正の動向について、最新の記事情報に基づき整理します。

目次

2025年1–10月海外就労実績:121,190

累計121,190人、日本が最多(45.4%)

VnEconomy紙の2025年11月5日付記事では、ベトナムの内務省海外労働管理局によると、2025年1月から10月までの累計の海外就労者数は合計で121,190(うち40,938人が女性)に上り、年間計画である約13万人の93.2%を達成しています。その内訳は以下のとおりで、日本が最多となっています。

その内訳は以下のとおりです。

  • 日本:55,049人(45.4%)
  • 台湾:47,135人(38.9%)
  • 韓国:9,996人(8.2%)
  • 中国:2,507人(2.1%)
  • シンガポール:1,823人(1.5%)
  • ギリシャ:728人(0.6%)
  • その他

なお、2025年上期(1〜6月)の海外就労者数は74,691人で、前年同期(2024年上期:78,640人)と比べて約5%減少しています(ベトナム電子政府新聞の2024年7月8日付記事2025年7月1日付記事)。

2025年10月単月:日本が最多で全体の約半数に近づく

2025年10月単月の派遣数は 11,740人 でした。受入国別では、日本が最も多く、次いで台湾が続いています。直近3か月における上位3か国の単月推移は以下のとおりです。(括弧内は構成比・2025年8月単月はVnEconomy紙の2025年9月8日付記事より)

2025年8月2025年9月2025年10月
日本4,347人(35.7%)5,345人(46.5%)5,799人(49.4%)
台湾5,435人(44.6%)5,045人(43.9%)4,184人(35.6%)
韓国1,583人(13.0%)298人(2.6%)775人(6.6%)
合計12,182人(100%)11,487人(100%)11,740人(100%)

2024年実績158,588人、前年比ほぼ横ばい

VnEconomy紙の2025年1月30日付記事によると、2024年に海外で働いたベトナム人労働者は合計158,588人に達しました。これは年間計画12万5,000人に対して126.9%の達成率であり、前年(2023年の159,986人)と比べて99.1%とほぼ同水準を維持しました。

受入国別の実績は以下のとおりです。

  • 日本:71,518人(45.1%)
  • 台湾:62,282人(39.3%)
  • 韓国:13,649人(8.6%)
  • 中国:2,335人(1.5%)
  • シンガポール:1,544人(1.0%)
  • ルーマニア:1,023人(0.6%)
  • ハンガリー:759人(0.5%)
  • ポーランド:331人(0.2%)
  • 香港:582人(0.4%)
  • アルジェリア:397人(0.3%)
  • サウジアラビア:660人(0.4%)
  • ロシア:591人(0.4%)
  • マカオ:346人(0.2%)
  • その他

日本と台湾の2市場だけで全体の約84%を占め、韓国を含めた主要3市場では9割を超えています。2021年から2024年の4年間で海外へ送り出された労働者は約50万人に達し、2025年1月時点で約70万人のベトナム人が海外で就労しており、毎年35〜40億USDの外貨を母国に送金しています。

2023年 海外就労者数の多い省市

外務省が国際移住機関(IOM)とともに2024年10月に発表した「ベトナム移住プロファイル 2023年版」(ベトナム電子政府新聞の2024年10月29日付記事)によれば、2023年の海外就労者数の多い8省市(省市再編前)は以下のとおりです。

  • ゲアン省:25,135人
  • タインホア省:14,719人
  • ハティン省:13,462人
  • ハイズオン省:12,094人
  • クアンビン省:6,042人
  • ハノイ市:4,946人
  • ナムディン省:4,727人
  • ハイフォン市:4,112人

この8省市の合計は85,567人に達し、2023年の年間総数159,986人の約53.5%を占めています。さらに、11月1日時点のデータではフンイエン省(3,100人)、タイビン省(2,990人)がTOP10に入っており、北部および北中部の省市が上位を占めています

派遣費用の低減と違反取締まり強化

日本行き費用は5,000万〜9,000万VND

ベトナム労働新聞の2025年5月21日付記事によると、近年の法整備や国家支援の強化により、海外就労にかかる費用が抑えられるケースが増えています。特に日本への派遣費用は企業によって異なるものの、低い場合は約5,000万VND、高くても8,000万~9,000万VND程度で収まる例が報告されています。これは、法律第69/2020/QH14号の施行以前に1億5,000万~2億VNDを支払わなければならなかった時期と比べ、大幅な減少です。また、一部企業では研修期間中の宿泊無料や金融機関からの融資支援を提供するケースもあり、これまで費用の高さから海外就労をためらっていた労働者層にとって大きな後押しとなっています。

法令違反企業の摘発と労働者保護の動き

政府当局は、海外派遣事業における法令違反や不正行為に対して監査を強化しています。法定以上の手数料徴収や、不明瞭な契約による搾取行為が摘発される事例も増えています。最近では、ホアンロン投資・建設・人材供給社が法定上限を大きく超える費用を徴収した疑いで捜査・起訴されました。こうした取り締まりは、公正な市場競争を確保すると同時に、労働者の権利を守るために不可欠とされています。また、ホーチミン市当局も違反の兆候がある場合に緊急の立ち入り検査を行う方針を示しており、労働者が正当な条件で海外就労できるよう体制強化が進められています。

海外派遣の停滞と「質」への転換

日本:応募は目標の2~4割にとどまる

ベトナム労働新聞の2025年9月5日付記事によると、かつては募集をかければ何百人もの応募が集まった海外派遣も、いまでは状況が一変しています。ホーチミン市に拠点を置く派遣企業の担当者(日本市場向け)は「最近の募集では目標の2~4割しか応募がなく、まったく応募者がいない求人枠もある」と話します。その背景には、ベトナム国内の工業団地で月収1,000万~1,500万VNDに加え、保険や福利厚生が整う環境が広がったことがあります。担当者は「国内でも安定して稼げるのに、わざわざ費用を払って家族と離れ、リスクを抱えてまで海外へ行く必要性が薄れている」と説明しました。

台湾・ドイツ:関心低下と高額訓練費用

従来人気が高かった台湾市場でも、賃金水準が上がり費用が下がったにもかかわらず、労働者の関心は薄れています。ハティン省にある派遣企業の採用担当者は「月給2,500万VND前後の一般職でも、関心を示す人は少ない」と現状を明かしています。同社は介護人材のドイツ派遣に取り組んでいますが、「語学と専門訓練に1億~1億5,000万VNDもの費用がかかり、多くの候補者が途中で離脱してしまう。従来のやり方はもう通用しない」と課題を指摘しました。

ILO:単純労働から技能人材育成へ転換

国際労働機関(ILO)の専門家は「日本、韓国、台湾だけでなく、中東や欧州市場でも十分な労働者を確保できなくなっている」と指摘します。

その背景には、受け入れ国側の条件の厳格化に加え、労働者側の志向変化があります。日本では「特定技能」制度への移行により資格証明や語学力が求められ、韓国も不法離職を防ぐための管理を強化しています。一方、一般労働者の間では「遠くへ行くよりも家の近くで安定した仕事を選びたい」という傾向が強まっています。

さらに、ベトナム国内には500社を超える派遣会社が存在し、供給過多による競争激化も状況を複雑にしています。こうした逆風を受け、多くの派遣企業はドイツやルーマニア、ポーランドといった市場を開拓していますが、要件の厳しさや訓練コストの高さが供給不足を招いています。一時的に融資やサービス料の減額で労働者をつなぎとめる動きは見られるものの、根本的な解決には至っていません。

ILOの専門家は次の点を強調しています。

  • 単純労働依存のリスク
    建設や農業における単純労働の余地は小さくなり、国際的には技能と語学力を備えた人材が求められている。方向を変えなければ派遣企業は淘汰されてしまう。また、単純労働に依存すればフィリピン、インドネシア、ミャンマーとの競争にさらされる。
  • 質への転換の必要性
    数を追うのではなく質を高めるべきであり、国家は高技能市場への派遣を財政的に支援し、二国間協定を拡大する必要がある。
  • 帰国者の技能発揮
    毎年数万人の帰国者が技能を活かせず適切な職に就けていない。国内産業でその技能を発揮できる仕組みが必要だ。

海外就労の現状と今後の法改正の動向

86万人が海外就労、年間65〜70億USD送金

VnEconomy紙の2025年10月31日付記事によると、海外で働くベトナム人労働者は安定した収入を得ており、同等の職種・技能水準の国内収入を大きく上回る水準にあります。また、毎年約65〜70億USDが母国へ送金され、国家の外貨収入や家計の蓄積向上に寄与しているとされています。

海外労働管理局の統計では、2021〜2025年の累計は約636,000人と、計画500,000人の127.3%に達しています。さらに、現在海外で働くベトナム人労働者は約860,000人と見込まれており、国内にとって重要な外貨源となっています。

不適切な手数料などの課題

海外就労には成果がある一方で、企業による高額・不適切な手数料徴収の事例が依然として存在し、労働者に負担を生じさせる状況も指摘されています。また、行政手続きが多段階で煩雑であることや、管理機関・地方行政の責任不足により、営利目的と非営利目的の契約形態を労働者が見分けにくい状況も課題とされています。

さらに、フィリピン、インドネシア、インド、バングラデシュなど他国が積極的に海外労働政策を強化する中、国際競争が激しくなっていると報告されています。このほか、国内では管理体制や企業・労働者の法令遵守状況の総合的な見直しが進められていることも示されています。

今後の政策整備と管理強化

海外労働管理局は、指導や検査を引き続き強化し、管理業務のデジタル化を推進することで、海外で働くために送り出す労働者に関する業務が安全で、透明性があり、効果的で、持続的に実施されるよう取り組む方針です。

一方、内務省は制度の点検と改善を進めており、政令112/2021/ND-CP号(契約に基づいて外国で働くベトナム人労働者に関する法律の細則および施行措置を規定する政令)を改正する政令案を政府に提出する準備を進めています。さらに、法律第69/2020/QH14号(契約に基づいて外国で働くベトナム人労働者に関する法律)を改正するための資料を、権限を持つ機関に提出する手続きも2026年に予定されています。

また内務省は、サービス企業に対して総合的な評価と点検を実施し、企業活動を公開性・透明性の高い方法で評価する制度を進めています。これにより、能力が低い企業や不適切な競争を行う企業を市場から選別し、排除するための基盤を整える方針です。

おわりに

2025年1月〜10月のベトナム人海外就労者数は121,190人となり、主要市場での受け入れは継続しています。一方で、国内の雇用環境が改善し、海外派遣の応募が以前ほど集まらない状況もあります。派遣費用の低減や違反企業への取り締まりが進み、求められる技能の高度化や候補者の意識変化など、外部環境は大きく変化しています。今後も、国内外の労働市場動向や制度改正の進展について、最新情報をお伝えしてまいります。

ベトナムの人事に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

※本記事は、公開時点の各ニュースソースを参考に、主要なポイントを編集・再構成したものです。概要の紹介を目的としており、最新情報は公式発表などのご確認をお願いいたします。

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