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2026年のベトナム定年年齢と、65歳定年への引き上げを巡る議論

ベトナムの定年年齢引き上げをテーマにした高齢者と労働現場のイラスト

現行の労働法に基づく段階的な引き上げにより、2026年1月以降の定年年齢は、男性が61歳6か月、女性が57歳となります。これは2021年から続いている定年延長の流れの一環であり、新たな制度開始そのものではありません。一方で、労働力の将来動向や経済成長を巡っては、定年を65歳まで引き上げるべきだという提案も取り上げられています。

本記事では、2026年の定年年齢の引き上げと、65歳定年案が提示される背景および専門家の見解を紹介します。

目次

2026年からの定年年齢の引き上げ

男性が61歳6か月、女性が57歳

VnExpress紙の2025年12月6日付記事によると、2026年1月1日から定年年齢が引き上げられ、通常の労働条件で働く場合の基準は次のとおりです。

  • 男性:61歳6か月
  • 女性:57歳

現行の労働法では、定年年齢は段階的に引き上げられており、

  • 男性は2028年に62歳
  • 女性は2035年に60歳
    に達する予定です。

また、次の条件に該当する場合は、規定より最大5年早い退職が認められています。

  • 労働能力が低下した者
  • 特に重労働・有害・危険な業務に従事する者
  • 特に困難な地域で勤務する者

一方で、高度な専門性や技術を有する者など一部の特別なケースでは、定年年齢を最大5年超えて就労することも可能とされています。

年金の受給条件と給付水準

定年年齢の引き上げに合わせ、年金受給の条件年齢も同時に引き上げられます。2026年以降の基本条件は以下のとおりです。

  • 男性:61歳6か月以上
  • 女性:57歳以上
  • 社会保険加入期間:15年以上

統計総局によると、

2024年の平均寿命

  • 全国平均:74.7歳
  • 男性:72.3歳
  • 女性:77.3歳
    となっています。

年金水準については、

  • 全国平均:月額約7,000,000ドン
  • 民間部門のみ:約6,200,000ドン

とされており、全国で約340万人が年金および毎月の社会保険給付を受給しています。

年金の支給率自体は東南アジアで最も高い水準の一つ(上限75%)に属する一方で、保険料水準が高くないため、実際の支給額は中程度にとどまっているとのことです。

年10%成長と65歳への定年引き上げ案

経済成長と労働力の関係

VnExpress紙の2025年10月30日付記事によると、国会で発言した専門家は、今後20年間にわたり年10%の経済成長を目指す方針について、その実現性に課題があると指摘しました。経済成長は労働生産性の向上労働力の増加で決まるとした上で、次のような試算を示しています。

  • 2021~2025年
    • 経済成長率:年6.3%
    • 労働生産性の伸び:年5.1%
    • 必要な労働力増加率:年1.14%
  • 2026~2030年
    • 目標成長率:年10%
    • 目標とする労働生産性の伸び:年8.5%
    • 必要な労働力増加率:年1.45%

一方で、統計を踏まえると、今後10年間に労働力が年1.45%のペースで増える保証はないと述べています。

定年年齢引き上げによる労働力確保の提案

同専門家は、過去50年間の平均で労働力は年1.97%増加してきたものの、2025年にピークを迎え、その後は減少に転じる見通しであると説明しました。

  • 労働力の将来見通し
    • 2026~2030年:年0.7%増にとどまる見込み
    • 2036~2040年:年0.14%の減少が予測

この状況では、年10%の経済成長を支えることは難しく、GDP成長率を10%にするには労働生産性を年9.3%引き上げる必要があるとしています。

そのため、次の対策が不可欠だと述べました。

  • 科学技術の活用
  • イノベーションの推進
  • デジタル転換の加速
  • 人的資源の有効活用

さらに、定年年齢の引き上げについても言及しています。

  • 現行制度
    • 男性:59歳 → 2028年に62歳へ
    • 女性:54歳 → 2035年に60歳へ
  • 提案内容
    • 各国並みに65歳まで引き上げる
    • これにより、毎年500万人以上の労働力を追加確保できる
    • 追加される労働力規模は、シンガポール、フィンランド、ノルウェー、デンマークなどの国と同程度になる

また、10年間のロードマップで定年を引き上げれば、年10%成長に必要な労働力の確保は十分可能だとしています。

年金制度への警鐘と社会保障改革の必要性

同専門家は、経済成長が長期間続いても、退職者の生活水準が必ずしも守られるわけではないと警鐘を鳴らしました。

海外の事例

  • 韓国
    • 43年間、年平均9%以上の経済成長
    • 年金基金は2055年に破綻すると予測
    • 労働者と年金受給者の比率
      • 2023年:3.3人に1人
      • 2055年:0.8人に1人
    • 現在、年金受給者の40%が相対的貧困層
  • 中国
    • 26年間、年12%以上の経済成長
    • 2035年には、退職者が3億人から4億人に増加
    • 年金基金が破綻する可能性が指摘されている

ベトナムの見通し

  • 労働者と年金受給者の比率
    • 2000年:7人に1人
    • 2025年:4.3人に1人
    • 2045年:2.4人に1人
    • 2100年:1.3人に1人

他国の事例にならい、労働人口がピークを迎えてから約37年後に年金基金が危機に陥るとすれば、ベトナムでは2072年頃がリスクの時期になるとしています。

このため、同専門家は、2030年までに社会保険制度の全面的な改革案を策定し、今後の退職者が「人並みの生活水準」を維持できる制度を構築すべきだと強調しました。

若年労働者の質向上を優先すべきとの見解

定年延長より生産性向上を重視

VnExpress紙の2025年11月1日付記事によると、定年年齢を65歳まで引き上げるよりも、若年層の生産性と技能を高めることを優先すべきだとの専門家の見解が示されています。2025年10月30日の国会における経済・社会分野の討議では、労働力を拡大し、2026年以降の2桁成長目標を支えるために定年を65歳に引き上げる提案が出されましたが、これに対し専門家は、経済効果は就業年数ではなく生産性に左右されると指摘しています。

労働生産性をめぐる主なポイントは以下の通りです。

  • 労働生産性の動向
    • 2010~2023年のデータでは、生産性の高い労働者の割合が86%から78%へ低下
    • 高齢労働者の比率上昇に伴い、付加価値を生み出す人材が減少している状況
  • デジタル化との関係
    • 企業のデジタル化が進む中、高齢層は新技術への適応が難しく、失業リスクが高まる可能性があると指摘されています。

若年層への投資と柔軟な定年制度の必要性

全国規模の3つの調査結果を踏まえ、高齢者の就労環境と健康状態の課題も整理されています。

  • 高齢者の就労意欲と健康状態
    • 60歳以上の55%が「働きたいが、健康上の理由で働けない」と回答
    • 退職後の平均余命:22.4年
      • うち5.7年は病気とともに生活
    • 55歳以降、健康状態が大きく低下すると感じる割合
      • 男性:60%
      • 女性:70%
    • 縫製、鉱業、運輸など、高負荷の職場で働く労働者が多い点も背景とされています。

こうした状況から、専門家は定年延長がもたらす影響として、

  • 若年層の雇用機会の縮小
  • 技術革新の遅れ
  • とりわけ女性労働者を中心とした職場の不満の増大

といった懸念を挙げています。

一方で、成長戦略としては若年層への投資が不可欠だとされています。

  • 若年層の現状
    • 就業も訓練も受けていない若者:約160万人
    • 資格を持つ労働者の割合:29%にとどまる
  • 専門家の見解
    • ベトナムは現在「人口ボーナス期」にあり、若年層こそが現在の最大の強み
    • 今後30年間で、デジタル技術への適応力が高いY世代・Z世代が労働力の中心になる見通し
    • この世代への投資を怠れば、高齢化が進む前の「黄金期」を逃すことになると指摘されています。

さらに、定年制度については職種別の柔軟な運用が提案されています。

  • 柔軟な定年制度の方向性
    • 知的労働、科学、教育、医療、管理職
      • 健康状態と本人の意思に応じ、65歳以上まで就業を可能
    • 製造現場などの直接労働
      • 50~55歳での早期退職を認めつつ、社会保険の権利は確保
  • 高齢者の経験活用策
    • パートタイム勤務
    • 助言・コンサルティング
    • 現場での研修・OJT

こうした仕組みを通じて、高齢世代の知識を活用しつつ若年層への技能移転を進めることが、成長の持続と社会保障の両立につながるとしています。

おわりに

本記事では、2026年からの定年年齢引き上げと、65歳定年案を巡る議論の背景と主要な見解を整理しました。今後は、労働力の確保、年金制度の持続性、若年層の生産性向上といった複数の視点から、定年制度の在り方が引き続き議論の中心となりそうです。今後も最新の動向をお届けしてまいります。


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※本記事は、公開時点の各ニュースソースを参考に、主要なポイントを編集・再構成したものです。概要の紹介を目的としており、最新情報は公式発表などのご確認をお願いいたします。

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