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ベトナムの外国人労働者への退職手当(労働法第46条)の支払い義務はあるのか?

ベトナムの都市景観を背景に、書類と紙幣を前に握手する男女のイラスト

2026年4月8日の内務省の回答によると、失業保険の適用対象外となる外国人労働者であっても、要件を満たせばベトナム労働法第46条に基づく退職手当の支払い義務が生じます。ただし、失業保険料相当額を賃金に上乗せ支払いしていた期間は退職手当の算定から除外されるとしています。

本記事では、内務省の回答をもとに、退職手当の支給要件と算定期間の計算方法をあわせて紹介します。

目次

制度の背景と保険料相当額の扱い

ベトナム電子政府新聞の2026年4月8日付記事によると、ホーチミン市の企業が2023年2月から労働許可証を持つ外国人労働者を採用し、失業保険の適用対象外であることを理由に、失業保険料の会社負担分に相当する額(賃金の1%) を毎月の賃金に上乗せして支払っていたケースについて、内務省が見解を示しました。

当該企業は、2025年10月に所定の手続きを経て退職した外国人労働者に対し、退職手当の支払い義務があるかどうかを照会していました。

内務省は、雇用法第43条の規定により外国人労働者は失業保険の被保険者に該当しないと説明。また労働法第168条第3項に基づき、強制社会保険・健康保険・失業保険の適用対象外の労働者に対しては、使用者が各保険の会社負担分に相当する額を賃金支払い時に上乗せして支払う義務があるとしています。

退職手当の支給要件

退職手当については、労働法第46条に基づき、同法第34条第1・2・3・4・6・7・9・10項の規定による労働契約終了の場合に支給が生じます。主な要件は以下の通りです。

  • 通算12か月以上継続勤務した労働者が対象
  • 勤続1年につき0.5か月分の賃金を支給
  • ただし、社会保険法上の年金受給要件を満たす場合、または正当な理由なく5連続勤務日以上無断欠勤した場合は対象外

算定基礎となる賃金は、退職前の直近6か月の労働契約上の平均賃金とされています。

計算式としては以下になります。
退職手当(労働法第46条)
=退職手当の算定に用いる勤務期間(年)×直近6ヶ月間の平均賃金×0.5ヶ月分

算定期間の計算方法

労働法第46条では、退職手当の算定に用いる勤務期間は、実際の勤務期間の合計から以下の期間を差し引いたものとされています。

  • 失業保険への加入期間
  • 過去に退職手当・失業手当が支払われた期間

また、政令第145/2020/NĐ-CP号第8条第3項によると、実際の勤務期間に算入される期間は次の通りです。

  • 労働者が直接勤務した期間
  • 試用期間
  • 使用者が提供する研修期間
  • 社会保険法に基づく傷病・出産休暇
  • 労働災害や職業病による療養のための有給休暇
  • 法定義務履行のための有給休暇
  • 労働者の責によらない業務の一時停止期間
  • 週休・有給休暇(労働法第111・112・113・114・115条第1項)
  • 労働者代表組織の職務遂行時間(同第176条第2・3項)
  • 業務の一時停止期間(同第128条)

一方、失業保険への加入期間については、実際の加入期間に加え、加入義務のない労働者に対して使用者が保険料相当額を賃金と合わせて支払っていた期間も含まれます。端数処理は6か月以下を0.5年、6か月超を1年として計算されます。

計算式としては以下になります。
退職手当の算定に用いる勤務期間(年)
=(実際の勤務期間)ー(失業保険への加入期間)ー(失業保険料の相当額を労働者に支払った期間)ー(過去に退職手当・失業手当が支払われた期間)

内務省は、上記の要件をすべて満たす外国人労働者には退職手当が支払われるとする一方、使用者が失業保険料の会社負担分に相当する額を賃金と合わせて支払っていた期間は退職手当の算定期間に含まれないとしています。

ベトナムにおける採用や人事労務に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

※本記事は、公開時点の情報を参考に作成しており、今後変更となる可能性があります。また、具体的な運用は管轄機関によって異なる可能性があるため、実務上は事前にご確認をお願いいたします。

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