ベトナムで駐在員として赴任、あるいは現地採用として勤務することになった場合、まず必要となるのは「ビザ」の取得です。本記事では、「ベトナムにおける外国人の入国・出国・乗継・居住に関する法の統合文書(30/VBHN-VPQH)」(以下、統合文書とする。)を参照しながら、ベトナムで働くときに必要なビザに関する基礎知識とビザの種類を整理します。
ビザと労働許可証と一時滞在許可証
ビザと労働許可証
駐在員または現地採用として、ベトナムで実際に就労する場合、
- ベトナムでの滞在を認める「ビザ」または「一時滞在許可証(TRC:Temporary Residence Card)」
- ベトナムでの就労を認める「労働許可証(WP:Work Permit)」
の両方が基本的に必要となります。いわゆる「就労ビザ」と呼ばれることもありますが、両者は別々の手続きで発行元も違います。


ビザと一時滞在許可証
ベトナムで1年以上の長期間就労する場合、ビザを取得してベトナムに入国した後、一時滞在許可証(TRC)に切り替え、労働許可証の有効期限(最大2年間)までの滞在を認められている、というケースが一般的です。一時滞在許可証(TRC)の有効期間中はビザを更新する必要がありません。
ベトナム2019年労働法(45/2019/QH14)第 155 条 労働許可証の有効期間
労働許可証の有効期間は最長2年とする。…
ビザの種類と解説
統合文書によると、ベトナムのビザは全部で27種類ありますが、駐在員や現地採用の方の利用が多いビザは下記のとおりです。
DN1 / DN2(企業訪問ビザ)
ベトナムの企業を訪問する出張者や、まだ労働許可証を取得していない状態でベトナムへ入国する駐在員や現地採用者が取得するビザです。実際に現地で就労する場合には、労働許可の免除証や労働許可証の取得が別途必要になります。
- DN1:ベトナムの法律に基づき、法人格を有する企業・組織と業務を行う外国人
- DN2:ベトナムが締結している国際条約に基づき、サービス提供、商業拠点設立、またはその他の活動を行う外国人
LD1 / LD2(労働ビザ)
労働許可の免除証や労働許可証を取得している駐在員や現地採用者が取得するビザです。ビザの名前は「労働ビザ」ですが、労働許可証とは別のものになります。
- LD1:ベトナムで就労する外国人で、労働許可証が不要であるとの免除証明を取得した者(ただし、ベトナムが締結する国際条約に別段の定めがある場合を除く)
- LD2:ベトナムで就労するにあたり、労働許可証の取得が義務付けられている外国人
NN1 / NN2 / NN3(駐在員事務所や支店での勤務者向けビザ)
ベトナムで設立した駐在員事務所や支店に勤務する場合に取得するビザです。
- NN1:国際組織または外国の非政府組織の駐在員事務所の所長、またはプロジェクトの代表者
- NN2:外国企業の駐在員事務所の所長、支店の代表者、または外国の経済・文化・その他専門組織の代表者
- NN3:外国の非政府組織、外国企業の駐在員事務所、外国企業の支店、外国の経済・文化・その他専門組織の駐在員事務所で働く者
DT1 / DT2 / DT3 / DT4(投資ビザ)
ベトナムへの投資家向けのビザになります。法令上の有効期間は出資額によって異なり、DT1/DT2が最長5年、DT3が最長3年、DT4が最長1年とされています。
- DT1:出資額が1,000 億 VND以上、または政府が指定する投資優遇業種・優遇地域に投資する外国人投資家および外国投資組織の代表者
- DT2:出資額が500 億 VND以上1,000 億 VND未満、または政府が指定する開発投資奨励業種に投資する外国人投資家および外国投資組織の代表者
- DT3:出資額が30 億 VND以上500 億 VND未満の外国人投資家および外国投資組織の代表者
- DT4:出資額が30 億 VND未満の外国人投資家および外国投資組織の代表者
TT / VR(家族帯同・親族訪問ビザ)
家族とベトナムに滞在する場合に取得するビザになります。
- TT:LV1・LV2・LS・DT1・DT2・DT3・NN1・NN2・DH・PV1・LD1・LD2 のビザを有する外国人の配偶者または 18 歳未満の子、またはベトナム国民の父母・配偶者・子である外国人
- VR:親族訪問などの目的で入国する者
ビザ取得までの手順
上記のビザを取得するには、原則としてベトナムの企業・組織など(受入先)が、外国人を招聘するための「招聘状」の申請を行う必要があります。ベトナムの企業が駐在員や現地採用として外国人を受け入れる場合の手順は以下のとおりです。
ベトナムの企業が、入国予定の外国人を招聘するため、管轄機関へ招聘状を申請します。
ベトナム当局により招聘状が発行されると、ベトナムの企業はそのコピーを外国人に送付します。
招聘状を受け取った外国人本人が、在日ベトナム大使館または領事館へビザを申請します。
実際の申請には書類準備や渡航スケジュール調整など、時間的な余裕が必要になります。早めの準備をおすすめします。
おわりに
ベトナムで働くためには、ビザや労働許可証、一時滞在許可証といった複数の申請手続きが必要になります。また、入国日やビザの有効期間は簡単に変更できないため、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。本記事の内容は現時点の情報に基づいていますが、今後、法改正や運用ルールの変更が行われる可能性もあります。実際の申請手続きの際は、管轄機関などへ最新情報を必ずご確認ください。
ビザ・労働許可証に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
※本記事は、公開時点の情報を参考に作成しており、今後変更となる可能性があります。また、具体的な運用は管轄機関によって異なる可能性があるため、実務上は事前にご確認をお願いいたします。

