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ベトナム南部製造業の採用施策、他省からの採用活動も

工場での受付と作業員の様子を描いたイラスト

2025年、ベトナム南部の製造業では労働需要の高まりを受け、各地で人材確保の取り組みが進んでいます。ホーチミン市では工業団地・輸出加工区の区画が将来的に100区画まで拡大が見込まれる中、地方出身者を対象とした採用活動を進める動きもあります。一方、カントー市では地元人材の不足に直面し、企業は採用対象を広げる施策などで対応しています。本記事では、南部2都市の人材確保の動向を紹介します。

目次

ホーチミン市:地方からの人材誘致と定着支援

ホーチミン市の採用需要

ベトナム労働新聞の2025年8月1日付記事によると、ホーチミン市とビンズオン省、バリア=ブンタウ省の行政再編により、ホーチミン市内の工業団地や輸出加工区の区画数は、これまでの17から59へと増加し、将来的には100区画までの拡張が見込まれています。

こうした背景のもと、2025年第3四半期には、ホーチミン市内の企業で85,000〜90,000人の労働者が必要とされており、そのうち約58%が未熟練労働者とされています。とくに、縫製、履物製造、組立といった分野での求人需要が高まっています。

地方出身者を対象とした企業の取り組み

スポーツシューズの輸出製造を手がけるホーチミン市のViet Nam Samho社は、受注の増加に伴い、約500名の未熟練労働者の採用を計画しています。

同社は、とくに市外からの人材確保に力を入れており、アンザン省に2か所の採用拠点を設置。応募者の相談受付から書類受理、面接までを現地で一貫して対応できる体制を構築しています。

給与体系は以下の通りです。

  • 基本給:5,300,000VND以上
  • 皆勤手当:600,000VND/月
  • 通勤手当:330,000VND/月
  • 住宅手当:500,000VND/月
  • 子ども手当:100,000〜200,000VND/月
  • 勤続手当:50,000〜100,000VND/月

遠隔地手当・送迎などの移動支援施策

同社では、地方出身者へのサポートとして、アンザン省、カマウ省などホーチミン市から200km以上の遠隔地から来る新規採用者に対し、2025年7月〜9月の3か月間、月500,000VNDの「遠隔地手当」を支給しています。

さらに、「初めての土地での就職に不安がある」「一人で移動するのが心配」といった労働者の声に配慮し、同じ地域の応募者12人をグループ化して、工場まで会社がバスで送迎するという取り組みも実施しています。

勤続インセンティブによる定着率向上

採用後の定着率向上にも力を入れており、新規採用者には就業2か月後に600,000VND、4か月後に400,000VNDのボーナスが支給されます。

また、過去に勤務していた経験者が復帰する場合には、以前の給与水準を考慮し、2か月後に300,000VND、7か月後に1,000,000VNDのボーナスが支給される制度も設けられています。

さらに、契約を再締結した労働者にはギフトを提供し、ライン長や班長などの管理者に対しては、担当ラインの退職率が2.5%未満だった場合に月500,000〜1,000,000VNDの報奨金を支給する仕組みも導入されています。

その他の企業における採用施策

ホーチミン市内のある縫製企業では、縫製工、ラインリーダー、品質検査スタッフ、班長などの職種で採用が進められています。給与は出来高制を採用しており、以下のような各種手当が支給されています。

  • 皆勤手当:500,000VND/月
  • 生産性ボーナス:300,000〜1,000,000VND/月
  • 子どもの学費補助:500,000VND/人
  • 住宅手当:300,000VND/月

さらに、勤続3年以上の従業員には、SJCブランドの金(1 chỉ vàng=約3.75g)を贈呈する制度もあり、長期的な就業を促進しています。

また、自動車用ワイヤーハーネスを製造する企業では、300名規模の新規採用を予定しており、月給は9,000,000〜12,000,000VNDとされています。さらに、3か月間勤務した労働者には3,500,000VNDのボーナスが支給されるなど、定着率向上に向けたインセンティブも設けられています。遠方からの労働者には寮の提供や送迎バスの運行といった支援も行われています。

カントー市:未経験者・40歳以上も対象に

市内企業で続く人手不足

Can Tho Onlineの2025年4月27日付記事によると、2025年初頭から、カントー市では、多くの企業が生産・経営の需要に対応するため、追加の労働者を募集しています。しかし、多くの企業において未熟練労働者の採用数は依然として目標に届いておらず、労働力不足が続いています。

この傾向は、縫製業や水産加工業といった労働集約型産業で特に顕著で、企業側は各種の採用施策を講じているものの、十分な労働力を確保するには至っていません。

未経験者の受け入れ体制を整備

Dai Thanh Huy社では、2025年初めから新規受注の増加を背景に、未熟練労働者の採用を進めています。同社によれば、現在100人以上の労働者を募集しており、経験の有無を問わず採用しているほか、未経験者には社内での技能訓練を実施する体制を整えています。

また、熟練労働者には優遇賃金を設定し、労働者の安定した収入を確保できるよう配慮しているといいます。法定に則った福利厚生制度も整えていますが、それでもなお希望する採用数には達していない状況です。

早朝勤務で40歳以上も採用対象に

食品加工を行う別の企業では、月給8,000,000〜10,000,000VND(出来高制)を提示し、福利厚生や食事補助などの制度も導入しています。2025年に500名の採用を計画していましたが、現時点で約100名の人員が不足しています。

採用が進まない理由として、勤務開始が朝5時30分と早く、子どもの送迎など家庭との両立が困難であることが指摘されています。

このため、従来は18〜40歳だった採用年齢の上限を48歳まで引き上げ、健康状態に問題のない中高年層にも門戸を広げるとともに、職業訓練やシフト中の食事補助などの取り組みも行っています。

おわりに

ベトナム南部の製造業では、都市ごとに人材確保の課題と対応策が異なっており、ホーチミン市では地方からの呼び込みによる広域的な確保、カントー市では地元の人材が最大限に活躍できる採用体制の整備が進められています。ただし、賃金や手当といった条件面の強化だけでは人材の定着には限界があるため、生活環境や家庭事情との両立支援、職場へのスムーズな適応を促す仕組み、離職リスクを抑えるための運用上の工夫など、表面的な条件改善にとどまらない、働き続けたくなる職場づくりが必要になってきます。

ベトナムの人事に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

※本記事は、公開時点の各ニュースソースを参考に、主要なポイントを編集・再構成したものです。概要の紹介を目的としており、最新情報は公式発表などのご確認をお願いいたします。

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